本記事内容および公開データに対して多くのご意見をいただきまして誠にありがとうございました。
ver1で漏れていたデータもあり、ご指摘いただいたデータを修正いたしました。また、プロフィール更新のご連絡もいただきましたため、あわせて情報更新をしております。その結果、以下2点に変更があったことをご報告いたします。
・JAPAN Competition Master数[257名 → 258名]に変更
・図3の企業ランキングにてGO社が6位群に変更
ご意見・ご指摘いただきました方々、この場を借りて御礼申し上げます。
2024.01.26更新
本記事3行要約:
● 全世界のMaster総数はのべ2,799名、うちCompetitionは2,030名!
● 日本のCompetition Master数はアメリカについで2位の258名!
● 所属機関としては、78組織(在籍特定のみ)に在籍!他にフリーランスや学生も!
先日、Kaggle Grandmaster(グランドマスター)の2024年 -update版-を調査・分析した結果を公開し、大きな反響をいただきました。
「参照:Kaggle Grandmaster 分析レポート 2024年 -update版-」
Grandmasterだけではなく、それに次ぐ称号である「Master」についても解析いたしましたので、本記事にて報告させていただきます。
■Kaggleとは
*Kaggleについての説明は、Grandmaster分析レポートより引用。
Kaggleは機械学習とデータサイエンスのコミュニティであり、企業や研究者がデータセットを公開し、ユーザーがそれらのデータセットを使用して予測モデルを作成し、そのパフォーマンスを競うプラットフォームです。
パフォーマンスに応じてGold・Silver・Bronzeなどの賞が得られ、その達成回数に応じて4つのタイトルが授与されます[コントリビューター・エキスパート・マスター・グランドマスター]。これらのタイトルは4つのカテゴリー[Competitions・Notebooks・Discussions・Datasets]でそれぞれ個別に獲得できます。
上記4つのカテゴリーで、最も技術的課題解決能力を試されるのはCompetitionsであり、多くの方がCompetition Grandmasterのタイトル獲得を狙っています。詳細は初回記事でまとめていますのでそちらをご覧ください。
■Master分析
Competition Grandmasterについては、前回記事でまとめました。
世界中でGrandmasterの称号を持つ方は493名おり、そのうちCompetitions Grandmasterは319名です。
そこまで見てみると、次なるタイトルのMastersはどれほどいらっしゃるのか気になり、本記事でMaster全体の総数・国別・国内組織別に分布を調べてみることにしました。
結果から申し上げると、全世界でMasterの称号を持つ方は、4つのカテゴリーの重複も加味した総数でのべ2,799名いらっしゃいました。ちなみに重複を省いたユニークIDのみをカウントすると2,661名となります。このうちCompetitions Masterのみをカウントすると2,030名(73%)でした。(図1)
Competitions Grandmasterが319名であったのに対して、Masterは2,030名と、6.4倍ほどの競技者がいらっしゃるようです。
各カテゴリでの分布を見ても、Grandmasterでは、Competitions[54%]・Notebooks[23%]・Discussions[14%]・Datasets[9%]となっておりました。しかし、Masterでは圧倒的にCompetitionsが多く73%も占めております。
Grandmasterの場合には、プラットフォームをリードするために、再利用性の高いスクリプトを提供するような貢献をしたり、問題設定に関わるデータセットに貢献したりといった要素が多く見て取れるように思います。一方で、Masterの場合には、既に用意されたプラットフォーム上で、腕を磨こうと自己研鑽を積み重ねることを優先した様子の表れとして、このような分布になっているのかもしれません。
■国別 Competition Master
次に、Competition Mastersのうち日本人比率を見ていきたいと思います。
図1で示したCompetition Master 2,030名のうち、プロフィールで「JAPAN」と登録されている方を抽出したところ258名でした。(図2)
全体比率でみると14%ということで、米国に次いで第2位となっております。Grandmasterと同じく、世界TOPを狙えるポジションだと言えます。ただし、Masterの母集団からGrandmasterが生まれるため、米国と130名近く差が開いているということは、今後先細りする可能性もなくはないとも言えます。
第3位の中国とは、僅か26名差ですので、ここも安心できる現状ではないのかもしれません。このあたりは、引き続き定点観測を続け動向を追ってまいります。
補足ですが、4位以降について、50名以上在籍している国が、ロシア(95)・英国(76)・フランス(64)・ドイツ(62)・インド(52)となっております。以降、ポーランド(42)・カナダ(38)・スペイン(37)・オーストラリア(36)・韓国(34)・ウクライナ(33)・シンガポール(30)・ベトナム(25)・台湾(24)というように続いております。
*:( )内は在籍人数です。
尚、Masterにおいては、プロフィールから在籍国が特定できなかった方が232名いらっしゃいました。これらの結果によっては、上位3国含めて現在順位が大きく入れ替わる可能性がございます。
■日本在住 Competition Master
これまで同様に、Masterでも日本の258名を抜き出して、そのリストを作成いたしました。(表1-1~1-5)
さすがに258名を全て統一表示すると冗長になってしまうため、50名ずつ切り分けて表1-1~1-5としております。並び順はランダムとなります。
こちらは2023/12/30現在の情報です。ランキングやフォロワーなどは随時更新されますので、最新の情報は Kaggle Rankings よりご確認ください。
*所属組織(=occupation)は、Kaggleプロフィールに表示されているもしくはプロフィールに設置されているSNSリンク先などで確認できるもののみ明記しております。
表1-1:日本人 Competitions Masterリスト [1~50名](2023/12/30現在)
表1-2:日本人 Competitions Masterリスト [51~100名](2023/12/30現在)
表1-3:日本人 Competitions Masterリスト [101~150名](2023/12/30現在)
表1-4:日本人 Competitions Masterリスト [151~200名](2023/12/30現在)
表1-5:日本人 Competitions Masterリスト [201~258名](2023/12/30現在)
表1をもとに、どこの組織にどれだけのMasterが在籍しているのかも可視化しております。(図3)
注)表1内「Occupation」がブランクでも、SNSやブログなどで所属特定できた方もおりますので、以下 図3にはそのような方もカウントして集計を出しています。
Company | 人数 |
---|---|
DeNA |
7
|
LINEヤフー |
7
|
Preferred Networks |
5
|
Recruit |
5
|
Rist |
5
|
GO |
4
|
Hitachi |
4
|
MC Digital |
3
|
Accenture |
2
|
BrainPad |
2
|
CADDi |
2
|
CyberAgent |
2
|
NSSOL |
2
|
ABEJA |
1
|
AI Shift |
1
|
ALGO ARTIS |
1
|
Archaic |
1
|
ARISE analytics |
1
|
astamuse |
1
|
Astellas Pharma |
1
|
AtCoder |
1
|
atma |
1
|
AWS |
1
|
AXA Life Insurance |
1
|
BabaConda Tech |
1
|
Bandai Namco Research |
1
|
BHI |
1
|
Cancerscan |
1
|
Canon |
1
|
Caulis. |
1
|
DataRobot |
1
|
DENSO |
1
|
Dentsu Digital |
1
|
DMM.com |
1
|
ELYZA |
1
|
Fixstars |
1
|
FPT Japan |
1
|
fuga |
1
|
Fujitsu |
1
|
GiXo |
1
|
GMO Internet |
1
|
1
|
|
Hewlett-Packard Japan (HP) |
1
|
Honda |
1
|
Intel |
1
|
IT coop |
1
|
KDDI |
1
|
Keio Univ. |
1
|
Konica Minolta |
1
|
Kyoto Univ. |
1
|
Lpixel |
1
|
Mercari |
1
|
Microsoft |
1
|
Mitsubishi Electric |
1
|
MNES |
1
|
Money Forward |
1
|
NABLAS |
1
|
NIKKEI |
1
|
Nowcast |
1
|
NVIDIA |
1
|
Orange Inc. |
1
|
Osaka Univ. |
1
|
Osaka Univ. medicine |
1
|
PKSHA Technology |
1
|
Rakuten |
1
|
Revie |
1
|
RIKEN |
1
|
Simplex Technology |
1
|
SoftRoid |
1
|
Sony |
1
|
Studio Ousia |
1
|
SUBARU |
1
|
SYS |
1
|
Telecom |
1
|
THIRD |
1
|
UL Systems |
1
|
Univ. of Electro-Communications |
1
|
Univ. of Tokyo |
1
|
フリーランス |
2
|
図3:日本 Competitions Master所属企業(2023/12/30現在)
258名のうち、学生 10名・所属不明 130名の計140名は図3に含まれておりません。所属特定できた138名のみでランキングを計測しております。
その結果、以下のような並びとなりました。
[1位:7名] DeNA社・LINEヤフー社
[3位:5名] Preferred Networks社・Recruit社・Rist社
[6位:4名] GO社・Hitachi(日立)社
[8位:3名] MC Digital社
[9位:2名] Accenture社・BrainPad社・CADDi社・CyberAgent社・NSSOL社
Grandmaserは、判明分で29組織に分布しておりましたが、Masterでは78組織に在籍が確認できました。上記の1位~8位の他には、1名の在籍が確認できた組織が大学含めて65社ございます。詳細は図3にてご確認ください。
■Kaggler向け求人
前回記事で紹介した「Kaggle枠」「Kaggle歓迎」求人の転載です(2023/5/11調べ)。こちらは新たな求人情報があり次第、追加・更新いたします。
▶ DeNA: 【事業横断】データサイエンティスト(Kaggler枠)
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▶ GO: データサイエンティスト
▶ PKSHA Technology: アルゴリズムエンジニア【予測最適化】
注)各社の採用状況により、募集締め切りや内容変更の可能性がございます。
最新の募集状況・要件などは各社の求人内容をご確認ください。
■まとめ
これからGrandmasterを目指されている258名もの日本人Masterの方々がいらっしゃることが分かり将来がますます楽しみになりました。
Grandmaster同様に、Masterの領域でも世界TOPになる日がくることを心待ちにしています。Kagglerの皆さまのこれからのご活躍に期待しております。
ResearchPortでは、引き続きトップカンファレンスやKaggleなどの技術コミュニティの定期観測を続け、研究者・エンジニア両面から技術革新に貢献してまいります。
● ResearchPortメンバーシップ募集:
https://research-p.com/mailform/
ResearchPortでは、研究者・技術者の方の研究事業開発サポートやキャリアサポートサービスを提供しております。ご興味がある方はResearchPortメンバーシップへご登録下さい。
編集:ResearchPort事業部
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2024年10月21日
「ACL2024」ResearchPortトップカンファレンス定点観測 vol.16
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2024年7月15日
「ICLR 2024」ResearchPortトップカンファレンス定点観測 vol.15