本記事内容および公開データに対して多くのご意見をいただきまして誠にありがとうございました。
プロフィール更新のご連絡をいただきましたため、一部情報を更新しております。その結果、図4の企業ランキングにてLINEヤフー社が4位群に変更となりましたことご報告いたします。
ご意見・ご指摘いただきました方々、この場を借りて御礼申し上げます。
2024.01.26更新
本記事3行要約:
● Competition Grandmasterの総数で、日本が世界TOPに躍進!!
● 7ヶ月間で新たに15名の日本人Competition Grandmasterが誕生!!
● 企業別では、新たに4名のGMが生まれたPreferred Networks社が最多在籍!!
*更新情報*
「Kaggle Master 分析レポート 2024版」を公開いたしました。
Grandmaster 分析レポートと合わせてご覧ください。
2023年5月に、第1回となるKaggle Grandmaster(グランドマスター)について調査・分析した結果を公開いたしました。
「参照:Kaggle Grandmaster 分析レポート 2023年版」
あれから半年強が経過し、その状況に変化があったのか調査いたしました。
■Kaggleとは
Kaggleは機械学習とデータサイエンスのコミュニティであり、企業や研究者がデータセットを公開し、ユーザーがそれらのデータセットを使用して予測モデルを作成し、そのパフォーマンスを競うプラットフォームです。
パフォーマンスに応じてGold・Silver・Bronzeなどの賞が得られ、その達成回数に応じて4つのタイトルが授与されます[コントリビューター・エキスパート・マスター・グランドマスター]。これらのタイトルは4つのカテゴリー[Competitions・Notebooks・Discussions・Datasets]でそれぞれ個別に獲得できます。
上記4つのカテゴリーで、最も技術的課題解決能力を試されるのはCompetitionsであり、多くの方がCompetitions Grandmasterのタイトル獲得を狙っています。詳細は初回記事でまとめていますのでそちらをご覧ください。
■Grandmaster最新動向
それではさっそく、Competition Grandmasterの2024年最新版をまとめていきたいと思います。
前回記事を計測した2023/5/3時点では、世界中でGrandmasterの称号を持つ方は427名*1 でしたが、今回の調査では493名*2 と66名増となっておりました。
*1 *2: 重複を省いたユニークなIDをカウントしたものです。そのため図1の合計数値とは異なります。
493名の中には、複数のカテゴリーでGrandmasterを持つ方もおられます。図1にGrandmaster全体のカテゴリー内訳を示しました。重複も加味した総数は、のべ594名となり、このうちCompetition Grandmasterのみをカウントすると、319名という結果でした。
予備情報になりますが、全カテゴリー総合計での国別Grandmaster数は図2の通りです。
■国別 Competition Grandmaster
図1で示したCompetition Grandmaster 319名のうち、プロフィールのCountryを「JAPAN」とされている方を抽出すると62名でした。(図3)
前回計測時から15名増という結果です。(1名はJAPAN→USと変更があったため、15名増 1名減で48名から62名に増加となっています)
なお、前回トップだった米国は微増で61名ということでしたので……
なんと!!日本が世界トップの “Grandmaster大国” となりました!!
やはり、日本の作り込みや最後まで勝ち切るという力の凄さはこういった数値にも現れております。
■日本在住 Competition Grandmaster
前回同様、日本のCompetition Grandmaster 62名のみを抽出して、そのリストを作成いたしました。(表1)
こちらは2023/12/30現在の情報です。ランキングやフォロワーなどは随時更新されますので、最新の情報は Kaggle Rankings よりご確認ください。
*所属組織(=occupation)は、Kaggleプロフィールに表示されているもしくはプロフィールに設置されているSNSリンク先などで確認できるもののみ明記しております。
表1:日本人 Competitions Grandmasterリスト(2023/12/30現在)
表1をもとに、どこの企業にどれだけのGrandmasterが在籍しているのかも可視化しております。(図4)
Company | 人数 |
---|---|
Preferred Networks |
7
|
Rist |
5
|
DeNA |
4
|
LINEヤフー |
3
|
PKSHA Technology |
3
|
Aillis |
2
|
GO |
2
|
NSSOL |
2
|
Recruit |
2
|
Acroquest Technology |
1
|
CADDi |
1
|
DataRobot Japan |
1
|
H2O.ai |
1
|
Keyence |
1
|
kgs go server |
1
|
KIOXIA |
1
|
LayerX |
1
|
MC Digital |
1
|
NVIDIA |
1
|
Panasonic |
1
|
Quant |
1
|
Sansan |
1
|
Sprout.ai |
1
|
Stability AI |
1
|
THIRD |
1
|
Turing |
1
|
Universal Knowledge |
1
|
Wantedly |
1
|
Weights & Biases |
1
|
others |
7
|
unknown |
8
|
図4:日本 Competitions Grandmaster所属企業(2023/12/30現在)
注)表1内「Occupation」がブランクでも、SNSやブログなどで所属特定できた方もおりますので、図4にはそのような方もカウントして集計を出しています。
今年は前回時4名在籍であったPreferred Networks社が7名に増員と大躍進でGM在籍数トップとなりました(4名追加・1名所属変更)。
次いで、Rist社 5名、DeNA社 4名、LINEヤフー社、PKSHA Technologyがそれぞれ3名となり、Aillis社、GO社、NSSOL社、Recruit社がそれぞれ2名在籍でした。
プロフィールからは所属が分からない方も多数いらっしゃったこと、またプロフィールに記載している所属先以外にも籍を置かえているなどの情報が分かれば順位が変わるかもしれません。いずれにしても、新規に追加された企業も含めて、Kaggleにチャレンジするような方が貢献したくなるような組織風土・エンジニアリングカルチャーがこれらの企業にはあると言えるのかもしれません。
■Kaggler向け求人
前回記事で紹介した「Kaggle枠」「Kaggle歓迎」求人の転載です(2023/5/11調べ)。こちらは新たな求人情報があり次第、追加・更新いたします。
▶ DeNA: 【事業横断】データサイエンティスト(Kaggler枠)
▶ 電通デジタル: 【X-tech】AIエンジニア(デジタル広告)
▶ キーエンス: AIエンジニア(大阪)
▶ GO: データサイエンティスト
▶ PKSHA Technology: アルゴリズムエンジニア【予測最適化】
注)各社の採用状況により、募集締め切りや内容変更の可能性がございます。
最新の募集状況・要件などは各社の求人内容をご確認ください。
■まとめ
生成AIや認識AIの技術革新が凄まじく、米国や中国に押されがちな印象を受けることも多いですが、このような実装力を競うコミュニティにおいて日本がトップになったということは本当に誇らしいことです。この記事を執筆している今この瞬間も早くこの情報を公開したい気持ちでいっぱいです!
Grandmasterの皆さま、本当におめでとうございます。これからもぜひ世界最先端で日本の技術力の高さを示すべく頑張っていただきたいと思います。
次回は、Kaggle masterのタイトルを持つ日本人についても調査・公開しようと思います。楽しみにお待ちください。
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2024年7月15日
「ICLR 2024」ResearchPortトップカンファレンス定点観測 vol.15